Claude Codeの仕組み講座(講師のためのエンジニア水準)
区分1 AIの動き方の芯★★★Claude の中身は、大規模言語モデル(LLM、Large Language Model)と呼ばれる物です。大量の文章から言葉の並び方を学んだ、文章を扱うAIのことです。 やっていることは、これまでの文章を見て、次に来る言葉を当てることです。
事務所にたとえると、「書きかけの書類の続きを、前後の流れからそれらしく書ける人」です。 書類を正確に調べて写す人ではありません。
モデルは、文章を文字や単語のままではなく、「トークン」という小さな単位に区切って扱います。 公式の説明では、トークンは単語・単語の一部・文字・バイトなどに対応します。
たとえるなら、原稿用紙のマスのようなものです。 ただし1マス=1文字とは決まっていません。文字数とトークン数は一致しません。 文章をトークンに区切る部品のことを、トークナイザーと呼びます。
| 何のことか | |
|---|---|
| モデル | 続きを当てる頭の部分(Claude 本体) |
| トークン | モデルが文章を数える単位 |
| 文字数 | 人間が数える単位。トークン数とは別物 |
| API | 自分のプログラムから Claude を呼び出す窓口(Application Programming Interface の略)。Claude Code も、裏ではこの種類の呼び出しでモデルとやり取りしています |
| Claude Code | モデルに道具を付けて、会話を管理する外側の仕組み(No.02で扱います) |
モデルは、文章を一気に作るのではありません。 これまでの文章を見て、次のトークンを1つ決めます。そのトークンを足して、また次を決めます。これを繰り返して文章になります。
入力:「今日の会議は」
→ 次を予測:「10」
→ 「今日の会議は10」を見て予測:「時」
→ 「今日の会議は10時」を見て予測:「から」
→ …終わりの合図が出るまで続ける
公式の用語集では、この種類のモデルを「前の文脈から次の言葉を予測するように、最初に大量の文章で学習する」と説明しています。 このあとさらに、指示に従う助手として振る舞うように調整されます。つまり Claude は「ただの続き当て」で終わらず、助手らしく答えるように育てられた物です。
大事なのは、モデルが1回に決めているのは「次の1つ」だということです。
次の1つを選ぶ時の基準は、その場の流れに合う「もっともらしさ」です。 辞書や台帳を引いて、正しい答えを取り出しているわけではありません。
だから、次の2つが起こります。
ハルシネーションが起きやすい理由を、公式で確かめられる範囲で整理します。
2番目は、公式がそのまま書いている文章ではなく、1番目と3番目から言える整理です。公式には、これ以上詳しい原因の説明は見当たりませんでした。講義では「仕組み上の傾向」と言うところまでにしておくのが安全です。
講師として言えるのは、「AIが嘘つきだから」ではなく「仕組み上、もっともらしさで続きを選ぶから」だという点です。
では、どうすれば減らせるでしょうか。 Claude Code の答えは、モデルに頭だけで答えさせず、道具で確かめさせることです。 「道具」とは、ファイルを読む・コマンドを動かすといった、モデルが使える手足のことです。ファイルを読ませる、テストを動かして結果を見せる、といった確認を回します。この仕組みは No.02(次の単元)で扱います。
○ よくある勘違い:「AIは知っていることを引き出して答えている」→ ×。流れに合う続きを選んでいます
○ 公式の説明では、Claude は「正直であること(間違った情報を作らず、限界を認めること)」を目指して訓練されています。ただし目指しているだけで、間違いが無くなるとは言えません
○ 関係する単元:No.02(確かめる道具)
公式の用語集には、次の説明があります。
No.04 に出てくるモデル(Fable 5.1・Opus 5.5・Sonnet 5.5・Haiku 5.5)は、どれも 4.7 より新しいので、すべて新しい区切り方です。 つまり「約30%多い」は、古いモデルから乗り換えた時の差の話です。5.5世代どうしを比べる話ではありません。
公式のモデル一覧には、100万トークンは現在の区切り方でおよそ250万文字にあたる、ともあります(数字は2026年10月時点の公式)。
日本語1文字が何トークンかは、公式の文書に数字が出ていません。 なので「1文字1トークン前後」のような数字は、ここでは断言しません。正確に知りたい時は、使うモデルで数えます。
数える方法は2つあります。
/context で、いま何が場所を取っているかを見られます「手元の日本語の文章が何トークンになるか」への答えは、この token counting で数える、です。モデルによって区切り方が違うので、数える時は実際に使うモデルを指定します。
モデルとのやり取りは、入力と出力に分かれます。
| 中身 | |
|---|---|
| 入力 | 指示の文章(システムプロンプト)・これまでの会話・道具の説明・道具の結果 |
| 出力 | モデルが新しく作った文章。答える前の思考(thinking。No.04で詳しくやります)も含む |
どちらも、同じ「机の広さ」(コンテキストウィンドウ。モデルが一度に見渡せる範囲。No.05で詳しくやります)に数えられます。 公式は、入力に含まれる物として、システムプロンプト・会話の全メッセージ(道具の結果を含む)・道具の定義を挙げています。出力も、考えた内容を含めて数えられます。
料金も、入力と出力で単価が別です。 公式のモデル比較表では、たとえば Sonnet 5.5 は入力100万トークンあたり2ドル、出力は10ドルです。出力の方が高い、という考え方を覚えておけば十分で、数字そのものは版で変わります。
モデルは、前回の会話を覚えていません。 公式の説明では、1回ごとの入力に「これまでの会話の履歴すべてと、今回の発言」を入れて送ります。Claude Code も、道具を使うたびに会話全体を送り直しています(公式のコスト解説)。
会話が長くなると、毎回送る量が増えます。 この送る量が「使用量」(トークンの数)で、料金は使用量に応じて決まります。だから会話が長いほど、一言あたりの使用量が増えて料金がかさみ、いつか机の広さの上限にも当たります。この話は区分2(No.05〜07)で詳しくやります。
事務所の仕事に置き換えると、次のように説明できます。
| 仕組み | 事務所のたとえ |
|---|---|
| 次のトークンを当てる | 書きかけの書類の続きを、流れからそれらしく書く人 |
| もっともらしさで選ぶ | 調べずに、経験から「たぶんこうだろう」と書く |
| 間違える | 経験で埋めた所が、実は事実と違っていた |
| 道具で確かめる | 書く前に、資料棚を見に行って確認する |
| 毎回全部送り直す | 担当者が毎朝まっさらで出社し、前日の議事録を全部読み直してから仕事を始める |
最後の行は、「なぜ忘れる」「なぜ上限がある」を話す時にも使えます。
○ 受講生によく聞かれる質問① 「AIは本当に考えているんですか?」
答え方:仕組みとしては「次の1つを当てる」を繰り返しています。ただし Claude Code では、答える前に考える量(thinking)と、その量を調整する設定(effort)があります。詳しくは No.04 で扱います。「考えているか」という哲学の話に入らず、「こういう仕組みで動いている」と事実を言えば十分です
○ 受講生によく聞かれる質問② 「同じことを聞いたのに、答えが違うのはなぜ?」
答え方:選び方にばらつきがあるからです。ばらつきの設定(temperature)を0にしても、完全には同じになりません(公式)。大事な作業は、結果を確かめる手順を入れます
○ 受講生によく聞かれる質問③ 「なんで自信満々に間違えるんですか?」
答え方:本当かどうかではなく、流れに合うかどうかで続きを選んでいるからです。対策は、頭だけで答えさせず、ファイルを読ませるなど道具で確かめさせること
○ 関係する単元:No.02(確かめる道具)/No.04(考える量)/No.05(机の広さ)
モデルは「次のトークンを1つ当てる」を繰り返して文章を作る。選ぶ基準はもっともらしさなので、間違うこともある。文字数とトークン数は別。会話は毎回全部送り直している。
問1 受講生が「AIは自信満々に間違った日付を言いました。故障ですか?」と聞いてきました。仕組みからの答えは?
問2 日本語の文章1000文字が、何トークンになるかを正確に知りたい時は?
問3 長い会話をしていると、一言聞くだけでも使用量が増え、料金がかさみます。主な理由は?
出典:Anthropic 公式 用語集「Glossary」(https://platform.claude.com/docs/en/about-claude/glossary)/「Token counting」(https://platform.claude.com/docs/en/build-with-claude/token-counting)/「Context windows」(https://platform.claude.com/docs/en/build-with-claude/context-windows)/「Models overview」(https://platform.claude.com/docs/en/models/overview)/「Reduce hallucinations」(https://platform.claude.com/docs/en/test-and-evaluate/strengthen-guardrails/reduce-hallucinations)/Claude Code 公式「Manage costs effectively」(https://code.claude.com/docs/en/costs)。