Claude Codeの仕組み講座(講師のためのエンジニア水準)
区分1 AIの動き方の芯★★Claude には、能力・速さ・料金が違うモデルが複数あります。 公式では、系統の名前で呼びます(Opus・Sonnet・Haiku、さらに上位の Fable)。
事務所にたとえると、部長・中堅・新人のような違いです。 難しい判断は強い人に、定型の作業は速くて安い人に、と使い分けます。
同じモデルでも、「答える前にどれだけ考えるか」を変えられます。 この考える量を調整する設定を、公式では effort(エフォート)と呼びます。
同じ部長でも、急ぎの確認には30秒、重要な決裁には1時間かける、という違いです。
| 何のことか | |
|---|---|
| モデル | どの頭を使うか(能力・速さ・料金の違い) |
| effort | 1手ごとに考える量の設定 |
| thinking(考える過程) | 答える前に、モデルが内側で行う思考そのもの。出力のトークンとして数えられる |
| コンテキストウィンドウ | 一度に見渡せる範囲の広さ(No.05で扱います)。モデルの強さとは別 |
公式のモデル一覧(2026年10月時点)で、系統ごとの位置づけは次のとおりです。
| 系統 | 位置づけ | 速さ | 料金(100万トークンあたり。入力/出力) |
|---|---|---|---|
| Fable 5.1 | 難しい推論と、長時間のエージェント作業向け | 遅め | 10ドル/50ドル |
| Opus 5.5 | 長時間のコーディングや知的作業向け | 中くらい | 4ドル/20ドル |
| Sonnet 5.5 | 速さと賢さのバランスが良い | 速い | 2ドル/10ドル |
| Haiku 5.5 | 分類・抽出など、量が多くて遅れたくない作業向け | いちばん速い | 0.10ドル〜/0.50ドル〜 |
覚えてほしいのは数字ではなく、強いほど遅く、高いという傾向です。 数字や世代は数か月で変わります。受講生には「最新の表は公式で確認してください」と言えば大丈夫です。
窓の大きさ(コンテキストウィンドウ。No.05で詳しくやります)は、モデルや設定で変わります。
公式では、上の4つの現行モデルは標準で100万トークンです。ただし設定(環境変数 CLAUDE_CODE_DISABLE_1M_CONTEXT=1)で200,000トークンに抑えることもできます。ひとつ前の世代の Opus 4.6・Sonnet 4.6 は、[1m] を付けて指定した時だけ100万になります。
環境変数とは、アプリに渡す設定値のことで、ターミナル(Mac の「ターミナル」アプリ)で export 名前=値 と打って設定します。
Claude Code では、sonnet・opus・haiku・fable という短い名前(エイリアス=別名)で指定でき、その時点の最新版に当たります。
公式のコスト解説の考え方は、「Sonnet はたいていのコーディングで足りて、Opus より安い。複雑な設計判断や、何段もある推論に Opus を取っておく」です。
切り替えは、次のどれかでできます。
/model(選ぶ画面が出ます)claude --model opus のように指定model指定が重なった時は、公式の順番で決まります。上から /model、起動時の --model、環境変数 ANTHROPIC_MODEL、設定ファイルの model、新しい会話の既定値(ANTHROPIC_DEFAULT_MODEL)の順で、上ほど強く効きます。受講生に聞かれた時は、この順番を公式で引けば足ります深追いしない。
何も指定していない時のモデルは、アカウントの種類で変わります。 Pro・Max・Team・Enterprise や API では Opus 5.5 です(公式)。
手元の実物で確かめてみましょう。 会話の中で /model と打つと、いま使っているモデルと選択肢が出ます。続けて /effort と打つと、考える量のスライダーが出ます。
モデルの使い分けは、会話全体だけでなく、役割ごとにもできます。
opusplan:計画を立てる段階(プランモード=ファイルを変更せず、調べて計画だけを立てる動作モード。/plan か Shift+Tab で入る)は Opus、実行する段階は Sonnet に自動で切り替えるhaiku にする、と指定できる。指定しなければ、会話中のモデルを引き継ぐ「部長に方針を決めさせ、実作業は中堅に任せる」という分業です。
2つを混ぜないでください。
Ctrl+O(Control キーを押しながら O)で、灰色の斜体の文字として見られるいまの新しいモデルは、考える量をモデル自身が状況に合わせて決める「適応型(adaptive)」の考え方です。 公式には「モデルが各リクエストを見て、考えるかどうか、どれだけ考えるかを決める」と書かれています。effort は、その決め方への「目安」にあたります。厳密な上限ではなく、傾向への合図です(公式)。
thinking をオフにできるかは、モデルで違います(公式のAPI説明)。
Opus 5.5 と Fable ではオフにできません。Sonnet 5.5 は、最初の考えをなくす最小の設定までです。Haiku 5.5 は、effort が high 以下ならオフにできます。
講義では細かい違いより、減らしたい時は、まず effort を下げると覚えておけば足ります。
段階は低い方から順に、low・medium・high・xhigh(エックスハイ。high より深い段階)・max です。
公式の使い分けの目安は次のとおりです。
| 段階 | 向く仕事 |
|---|---|
| low | 短いやり取り、ちょっとした修正、アイデア出し |
| medium | 範囲がはっきりした日々の作業。費用を抑えたい仕事 |
| high | 確かめることが大事な仕事(不具合の修正など) |
| xhigh | もっと深く考える。使うトークンも増える |
| max | 難しい問題向け。効果が頭打ちになったり、考えすぎたりすることがある |
低い effort では、考える量だけでなく、道具の呼び出しも少なく、まとめて動かし、余計な前置きもしなくなります。 高い effort では、道具の呼び出しが増え、動く前に方針を説明し、まとめも詳しくなります(公式のAPI説明)。
何も指定しなかった時の既定の effort は、使っているモデルで変わります(Claude Code の公式説明)。
| 使っているモデル | 既定の effort |
|---|---|
| Opus 5.5・Sonnet 5.5・Haiku 5.5 | medium |
| Fable、Opus 4.8 など、ほかの多くのモデル | high |
| Opus 4.7 | xhigh |
つまり、何も設定していないアカウントでは、既定のモデルが Opus 5.5 なので、既定の effort は medium から始まります。
ただし API 側の既定は、モデルによって違う場合があります。講義では「既定は版で変わるので、/effort で確かめましょう」と言えば確実です。
さらに、1回だけ深く考えさせたい時は、依頼文のどこかに ultrathink と書きます。そのターンだけ深く考える指定になり、effort の設定は変わりません。「よく考えて」のような言い回しは、合図としては認識されません(公式)深追いしない。
考える量を増やすと、賢くなる代わりに、遅くなり、高くなります。
理由は、仕組みから説明できます。
だから「いつも最強設定」が正解ではありません。 簡単な作業に重い設定を使うと、遅いだけで品質はほぼ変わりません。逆に、難しい仕事に軽い設定を使うと、浅い答えになります。
選び方の考え方は、次の2段階です。
○ API で effort を会話の途中で変えると、キャッシュ(毎回送る同じ部分を安く使い回す仕組み。No.07で扱います)が作り直しになる、と公式のAPI説明にあります。長い会話では、最初に決めて動かさない方が安上がりです
| 設定 | 事務所のたとえ |
|---|---|
| モデルの種類 | 誰に頼むか(部長・中堅・新人) |
| effort | その人が、1件にかける時間 |
| thinking | 机で考えている時間(外からは見えにくい) |
| 高い・遅い | 部長が1時間かけて決裁する分、人件費がかかる |
| opusplan | 部長が方針を決め、中堅が実作業をする |
Claude Code では、誰に頼むか(モデル)と、どれだけ時間をかけさせるか(effort)の2つを選びます。
○ 受講生によく聞かれる質問① 「いつも一番強いモデルと最高設定にすればいいのでは?」
答え方:強くするほど遅く、高くなるからです。簡単な作業には効果がほぼなく、max では考えすぎることもあります。仕事の難しさで選びます
○ 受講生によく聞かれる質問② 「AIが何を考えているか、見られますか?オフにできますか?」
答え方:考えた内容は普段は折りたたまれ、Ctrl+O で見られます。オフにできるかはモデルで違い、Opus 5.5 などではできません。減らしたいならまず effort を下げます。見えなくても課金はされます
○ 受講生によく聞かれる質問③ 「SonnetとOpusで、同じ依頼なのに答えが違うのはなぜ?」
答え方:別のモデルで、得意や傾向が違うからです。たとえば必要な情報が足りない依頼のとき、Opus は不足に気づいて聞き返しやすく、Sonnet は推測で埋めることがある、と公式のAPI説明にあります(傾向であって保証ではありません)
○ 関係する単元:No.01(出力は高い)/No.02(何周も回る)/No.07(キャッシュと料金)/No.12(サブエージェントのモデル)
モデルは「誰に頼むか」、effort は「1手にかける時間」。強く・多く考えるほど、賢くなる代わりに遅く高くなる。仕事の難しさで選ぶ。
問1 受講生が「請求書のファイル名を大量にそろえるだけの作業なのに、遅くて高い」と困っています。仕組みからの対応として適切なのは?
問2 effort(エフォート)の説明として正しいのは?
問3 Opus 5.5 を使っていて、費用を抑えたいので thinking を完全にオフにしようとしましたが、できませんでした。次の一手は?
出典:Claude Code 公式「Model configuration」(https://code.claude.com/docs/en/model-config)/「Manage costs effectively」(https://code.claude.com/docs/en/costs)/「How Claude Code works」(https://code.claude.com/docs/en/how-claude-code-works)/Anthropic 公式「Models overview」(https://platform.claude.com/docs/en/models/overview)/「Effort」(https://platform.claude.com/docs/en/build-with-claude/effort)/「Steering thinking」(https://platform.claude.com/docs/en/build-with-claude/thinking-steering-and-cost)/「Thinking」(https://platform.claude.com/docs/en/build-with-claude/thinking)/「Tool use with Claude」(https://platform.claude.com/docs/en/agents-and-tools/tool-use/overview)。