Claude Codeの仕組み講座(講師のためのエンジニア水準)

区分1 AIの動き方の芯★★

No.04 モデルの選び方と考える量(effort)

どのモデルを使うか、そして答える前にどれくらい考えさせるか。この2つのつまみの単元です。受講生の「どれを選べばいいの?」「なんで遅いの?高いの?」に答えるための回で、区分1の締めくくりです。覚えるのは名前より考え方なので、さらっと進めて大丈夫です。
目次
  1. 第0章 前提知識
  2. 第1章 モデルの選び方
  3. 第2章 考える量
  4. 第3章 講義で使える図のたとえ
  5. 確認問題

第0章 前提知識

① モデル :Claude の「格」の違い

Claude には、能力・速さ・料金が違うモデルが複数あります。 公式では、系統の名前で呼びます(Opus・Sonnet・Haiku、さらに上位の Fable)。

事務所にたとえると、部長・中堅・新人のような違いです。 難しい判断は強い人に、定型の作業は速くて安い人に、と使い分けます。

② 考える量 :1手ごとに、どれだけ頭を使うか

同じモデルでも、「答える前にどれだけ考えるか」を変えられます。 この考える量を調整する設定を、公式では effort(エフォート)と呼びます。

同じ部長でも、急ぎの確認には30秒、重要な決裁には1時間かける、という違いです。

③ 似た言葉との違い

何のことか
モデル どの頭を使うか(能力・速さ・料金の違い)
effort 1手ごとに考える量の設定
thinking(考える過程) 答える前に、モデルが内側で行う思考そのもの。出力のトークンとして数えられる
コンテキストウィンドウ 一度に見渡せる範囲の広さ(No.05で扱います)。モデルの強さとは別

第1章 モデルの選び方

① 種類と使い分け 必ず覚える

公式のモデル一覧(2026年10月時点)で、系統ごとの位置づけは次のとおりです。

系統 位置づけ 速さ 料金(100万トークンあたり。入力/出力)
Fable 5.1 難しい推論と、長時間のエージェント作業向け 遅め 10ドル/50ドル
Opus 5.5 長時間のコーディングや知的作業向け 中くらい 4ドル/20ドル
Sonnet 5.5 速さと賢さのバランスが良い 速い 2ドル/10ドル
Haiku 5.5 分類・抽出など、量が多くて遅れたくない作業向け いちばん速い 0.10ドル〜/0.50ドル〜

覚えてほしいのは数字ではなく、強いほど遅く、高いという傾向です。 数字や世代は数か月で変わります。受講生には「最新の表は公式で確認してください」と言えば大丈夫です。

窓の大きさ(コンテキストウィンドウ。No.05で詳しくやります)は、モデルや設定で変わります。 公式では、上の4つの現行モデルは標準で100万トークンです。ただし設定(環境変数 CLAUDE_CODE_DISABLE_1M_CONTEXT=1)で200,000トークンに抑えることもできます。ひとつ前の世代の Opus 4.6・Sonnet 4.6 は、[1m] を付けて指定した時だけ100万になります。 環境変数とは、アプリに渡す設定値のことで、ターミナル(Mac の「ターミナル」アプリ)で export 名前=値 と打って設定します。

Claude Code では、sonnet・opus・haiku・fable という短い名前(エイリアス=別名)で指定でき、その時点の最新版に当たります。 公式のコスト解説の考え方は、「Sonnet はたいていのコーディングで足りて、Opus より安い。複雑な設計判断や、何段もある推論に Opus を取っておく」です。

② 切り替え方と、決まり方 さらっと

切り替えは、次のどれかでできます。

指定が重なった時は、公式の順番で決まります。上から /model、起動時の --model、環境変数 ANTHROPIC_MODEL、設定ファイルの model、新しい会話の既定値(ANTHROPIC_DEFAULT_MODEL)の順で、上ほど強く効きます。受講生に聞かれた時は、この順番を公式で引けば足ります深追いしない。

何も指定していない時のモデルは、アカウントの種類で変わります。 Pro・Max・Team・Enterprise や API では Opus 5.5 です(公式)。

手元の実物で確かめてみましょう。 会話の中で /model と打つと、いま使っているモデルと選択肢が出ます。続けて /effort と打つと、考える量のスライダーが出ます。

③ 仕事の途中で使い分ける機能 さらっと

モデルの使い分けは、会話全体だけでなく、役割ごとにもできます。

「部長に方針を決めさせ、実作業は中堅に任せる」という分業です。

第2章 考える量

① thinking と effort は別の物 必ず覚える

2つを混ぜないでください。

いまの新しいモデルは、考える量をモデル自身が状況に合わせて決める「適応型(adaptive)」の考え方です。 公式には「モデルが各リクエストを見て、考えるかどうか、どれだけ考えるかを決める」と書かれています。effort は、その決め方への「目安」にあたります。厳密な上限ではなく、傾向への合図です(公式)。

thinking をオフにできるかは、モデルで違います(公式のAPI説明)。 Opus 5.5 と Fable ではオフにできません。Sonnet 5.5 は、最初の考えをなくす最小の設定までです。Haiku 5.5 は、effort が high 以下ならオフにできます。 講義では細かい違いより、減らしたい時は、まず effort を下げると覚えておけば足ります。

② effort の段階 必ず覚える

段階は低い方から順に、low・medium・high・xhigh(エックスハイ。high より深い段階)・max です。 公式の使い分けの目安は次のとおりです。

段階 向く仕事
low 短いやり取り、ちょっとした修正、アイデア出し
medium 範囲がはっきりした日々の作業。費用を抑えたい仕事
high 確かめることが大事な仕事(不具合の修正など)
xhigh もっと深く考える。使うトークンも増える
max 難しい問題向け。効果が頭打ちになったり、考えすぎたりすることがある

低い effort では、考える量だけでなく、道具の呼び出しも少なく、まとめて動かし、余計な前置きもしなくなります。 高い effort では、道具の呼び出しが増え、動く前に方針を説明し、まとめも詳しくなります(公式のAPI説明)。

何も指定しなかった時の既定の effort は、使っているモデルで変わります(Claude Code の公式説明)。

使っているモデル 既定の effort
Opus 5.5・Sonnet 5.5・Haiku 5.5 medium
Fable、Opus 4.8 など、ほかの多くのモデル high
Opus 4.7 xhigh

つまり、何も設定していないアカウントでは、既定のモデルが Opus 5.5 なので、既定の effort は medium から始まります。 ただし API 側の既定は、モデルによって違う場合があります。講義では「既定は版で変わるので、/effort で確かめましょう」と言えば確実です。

さらに、1回だけ深く考えさせたい時は、依頼文のどこかに ultrathink と書きます。そのターンだけ深く考える指定になり、effort の設定は変わりません。「よく考えて」のような言い回しは、合図としては認識されません(公式)深追いしない。

③ 速さと料金とのトレードオフ 必ず覚える

考える量を増やすと、賢くなる代わりに、遅くなり、高くなります。

理由は、仕組みから説明できます。

だから「いつも最強設定」が正解ではありません。 簡単な作業に重い設定を使うと、遅いだけで品質はほぼ変わりません。逆に、難しい仕事に軽い設定を使うと、浅い答えになります。

選び方の考え方は、次の2段階です。

  1. まず仕事の難しさで、モデルを決める
  2. 次に、急ぎか慎重かで、effort を決める

○ API で effort を会話の途中で変えると、キャッシュ(毎回送る同じ部分を安く使い回す仕組み。No.07で扱います)が作り直しになる、と公式のAPI説明にあります。長い会話では、最初に決めて動かさない方が安上がりです

第3章 講義で使える図のたとえ

設定 事務所のたとえ
モデルの種類 誰に頼むか(部長・中堅・新人)
effort その人が、1件にかける時間
thinking 机で考えている時間(外からは見えにくい)
高い・遅い 部長が1時間かけて決裁する分、人件費がかかる
opusplan 部長が方針を決め、中堅が実作業をする

Claude Code では、誰に頼むか(モデル)と、どれだけ時間をかけさせるか(effort)の2つを選びます。

○ 受講生によく聞かれる質問① 「いつも一番強いモデルと最高設定にすればいいのでは?」
 答え方:強くするほど遅く、高くなるからです。簡単な作業には効果がほぼなく、max では考えすぎることもあります。仕事の難しさで選びます
○ 受講生によく聞かれる質問② 「AIが何を考えているか、見られますか?オフにできますか?」
 答え方:考えた内容は普段は折りたたまれ、Ctrl+O で見られます。オフにできるかはモデルで違い、Opus 5.5 などではできません。減らしたいならまず effort を下げます。見えなくても課金はされます
○ 受講生によく聞かれる質問③ 「SonnetとOpusで、同じ依頼なのに答えが違うのはなぜ?」
 答え方:別のモデルで、得意や傾向が違うからです。たとえば必要な情報が足りない依頼のとき、Opus は不足に気づいて聞き返しやすく、Sonnet は推測で埋めることがある、と公式のAPI説明にあります(傾向であって保証ではありません)
○ 関係する単元:No.01(出力は高い)/No.02(何周も回る)/No.07(キャッシュと料金)/No.12(サブエージェントのモデル)

モデルは「誰に頼むか」、effort は「1手にかける時間」。強く・多く考えるほど、賢くなる代わりに遅く高くなる。仕事の難しさで選ぶ。

確認問題

問1 受講生が「請求書のファイル名を大量にそろえるだけの作業なのに、遅くて高い」と困っています。仕組みからの対応として適切なのは?

問2 effort(エフォート)の説明として正しいのは?

問3 Opus 5.5 を使っていて、費用を抑えたいので thinking を完全にオフにしようとしましたが、できませんでした。次の一手は?

出典:Claude Code 公式「Model configuration」(https://code.claude.com/docs/en/model-config)/「Manage costs effectively」(https://code.claude.com/docs/en/costs)/「How Claude Code works」(https://code.claude.com/docs/en/how-claude-code-works)/Anthropic 公式「Models overview」(https://platform.claude.com/docs/en/models/overview)/「Effort」(https://platform.claude.com/docs/en/build-with-claude/effort)/「Steering thinking」(https://platform.claude.com/docs/en/build-with-claude/thinking-steering-and-cost)/「Thinking」(https://platform.claude.com/docs/en/build-with-claude/thinking)/「Tool use with Claude」(https://platform.claude.com/docs/en/agents-and-tools/tool-use/overview)。