Claude Codeの仕組み講座(講師のためのエンジニア水準)
区分2 コンテキストとトークン★★★AIは文章を「トークン」という細かい単位に区切って読みます。 文字数とは別の数え方で、モデルによっても変わります。 詳しくは No.01 で扱うので、ここでは「量を測る単位」とだけ思ってください。
コンテキストウィンドウは、1回の返事を作る時にAIが一度に読める量の上限です。 入りきらない分は、AIには見えません。
たとえ話にします。 事務所の机の広さです。 書類を広げられる広さは決まっていて、広げすぎると新しい書類を置く場所がなくなります。
窓の大きさは、モデルや設定で変わります。
公式では、Fable 5・Sonnet 5 以降・Haiku 5.5・Opus 4.7 以降は標準で100万トークンです。
Opus 4.6 と Sonnet 4.6 は、100万トークンの版([1m] を付けて選ぶ)を選んだ時だけ100万になります。
設定で200,000トークンに抑えることもできるので、受講生には「自分の環境の窓の大きさは、使っているモデルと設定しだい」と伝えてください。
多くの人が混ぜる所なので、先に分けておきます。
| 実体 | どこにある | |
|---|---|---|
| 会話の記録 | あなたとAIがやり取りした全文 | あなたのパソコンのファイル |
| コンテキスト | 返事を作る時にAIへ送る「机の上」の中身 | 毎回、組み立てて送られる |
AIは、前の返事のことを自分では覚えていません。 返事のたびに、Claude Code(ターミナルで動くこの道具の本体)が机の上を丸ごと組み立て直して送っています。 このしくみは No.07 で詳しく扱います。ここでは「毎回ゼロから読み直している」とだけ覚えてください。
あなたが1文字も打つ前から、次の物が載っています。
公式ドキュメントの図解では、この段階で数千トークンから1万トークン前後です。 図解は200,000トークンの窓を例にしていて、その場合はまだ数パーセントです。ただし「代表的な数字」とされており、あなたの環境の数字ではありません。
ここで大事なのは、CLAUDE.md は毎回、全文が載ることです。 1行増やせば、以後すべての返事でその1行分を読み直します。 公式は「CLAUDE.md は200行以内」を目安にし、長いほど場所を取って、指示が守られにくくなる、と書いています(No.03)。
実際に机を埋めるのは、ほとんどが道具の結果です。 1つのファイルを読むだけで数千トークン、テストの出力で1000トークン以上、という具合です。 あなたの一言は数十トークンですが、そのために読んだファイルが机に残ります。
ファイルの種類によっては、後から載ります。
フォルダの奥にある CLAUDE.md や、paths: を付けたルールがそうです。
paths: は、ルールのファイルの先頭に書く「このファイルを扱う時だけ読む」という指定で、対象のファイルを読んだ時に会話へ追加されます。
MCPのサーバー(道具を出す側)は、1つで何十もの道具を持つことがあります。 道具ごとの説明を毎回載せると、机がすぐ埋まります。 この説明は、どんな値を渡せるかを書いた設計図で、JSON という書式の決まりで書くため JSON Schema と呼ばれます。
そこで今の Claude Code は、最初は道具の名前だけを載せ、必要になった時に説明を呼び出す方式が標準です。 この方式は、公式では「ツール検索」、この講座では「道具の検索」と呼びます。 使わないサーバーの分は、名前の分しか場所を取りません。
ただしこれは標準の動きで、設定で変わります。
公式は、同じことができるなら gh(GitHub を操作するコマンド)や aws(Amazon のクラウドを操作するコマンド)のようなコマンドを使う方が、道具の一覧が増えず場所を取らない、と勧めています。
○ 数字は2026年10月時点の公式。窓の大きさは上の第0章①のとおりモデルと設定で変わります。考え方は同じなので、数字より「何が載るか」を覚えてください
○ 関係する単元:No.03 指示の層(システムプロンプトとCLAUDE.mdの関係)
/context で実物を見る 必ず覚える/context と打つと、いまの机の上が種類別の内訳で表示されます。
システム、CLAUDE.md、記憶、道具、会話などが、それぞれ何トークンかが分かります。
読み込まれた CLAUDE.md と記憶のファイルの一覧も、ここに出ます。
/context all とすると、読み込まれたMCPの道具ごとの量まで見えます。
/memory は役割が違います。
CLAUDE.md や記憶のファイルを一覧にして、選んで開いて直す画面です。記憶の自動保存のオン・オフもここで切り替えます。
つまり、何が読み込まれたかを見るのは /context、中身を直すのは /memory です(No.03・No.08 も同じ説明です)。
講義の前に、自分の環境で /context を1回打っておくと、「実物ではこうです」と言えます。
公式ドキュメントは、機能ごとに「いつ・何が載るか」を整理しています。
| 機能 | いつ載る | 机の取り方 |
|---|---|---|
| CLAUDE.md | 起動時に全文 | 毎回ずっと |
| スキル | 起動時は説明だけ。使う時に全文 | 説明の分だけ毎回 |
| MCP | 起動時は名前。使う時に説明 | 少ない(使うまで) |
| サブエージェント(別の机で働く助手。No.12) | 呼んだ時、別の机で | メインの机を使わない |
| フック(決まった場面で自動で動く処理。No.10) | 動いた時(外で実行) | 出力を返さなければゼロ |
増やすほど、場所を取ることと、AIが選ぶ候補が増えて迷うことの2つが起きます。
だから、毎回要る物だけ常駐させ、時々要る物は呼ぶ方式にするのが設計の基本です。 CLAUDE.md が長くなったら、手順の細かい部分をスキルへ移します。
満杯に近づくと、Claude Code が自動で古い内容を片付けます。 詳しい中身は次の No.06 で扱います。 ここでは「放っておいても止まりはしないが、細かい序盤の指示は抜けることがある」とだけ押さえてください。
○ 受講生によく聞かれる質問:「MCPをたくさんつなぐと遅くなる?」
→ 今の標準では、使わない道具は名前だけなので、場所はあまり取りません。ただし設定や環境によっては説明を全部載せることもあります。気になる時は /context all で量を見るよう勧めます
○ 関係する単元:No.06(片付けと残す工夫)、No.07(毎回送り直す仕組み)
窓=1回の返事で見られる量(大きさはモデルと設定で変わる)。起動時から、システム・CLAUDE.md・記憶・道具の名前が載る。机を埋めるのは主に道具の結果。常駐は最小限に。
問1 受講生が「CLAUDE.md を2000行にして、何でも書いておけばAIが賢くなりますよね」と言いました。この単元の内容から、どう答えるのが適切ですか?
問2 作業の途中で、いつの間にか机の大半が埋まっていました。主な原因として最も多いのはどれですか?
問3 自分の環境で、いま何がどれだけ机を使っているかを実物で確かめたいです。使うのはどれですか?
問4 MCPの道具を数十個つないでも、今の標準では机があまり埋まらないのはなぜですか?
出典:Claude Code 公式ドキュメント「How Claude Code works」(https://code.claude.com/docs/en/how-claude-code-works)「Explore the context window」(https://code.claude.com/docs/en/context-window)「How Claude remembers your project」(https://code.claude.com/docs/en/memory)「Manage costs effectively」(https://code.claude.com/docs/en/costs)。窓の大きさは「Model configuration」(https://code.claude.com/docs/en/model-config)。いずれも2026年10月13日に確認