Claude Codeの仕組み講座(講師のためのエンジニア水準)
区分2 コンテキストとトークン★★★No.05 で、机の広さには上限があると学びました。 満杯に近づくと、これまでの会話をAI自身に短くまとめさせ、元の長い会話をそのまとめに置き換えます。 これを要約(英語で compact)と呼びます。
たとえ話にします。 机がいっぱいになったので、広げていた書類を「議事録1枚」にまとめて、元の書類は片付けるイメージです。 議事録に書いていない細かい点は、もう机の上にありません。
名前が似ていて混ざりやすいので、先に分けます。
| 操作 | 何が起きる | 机の上の会話は |
|---|---|---|
| 自動の要約 | 満杯に近づくと自動で古い内容を整理する | 要約に置き換わる |
/compact |
自分の好きな時に要約する。残したい点を指定できる | 要約に置き換わる |
/clear |
会話を空にして新しく始める | 空になる(前の会話は /resume=過去の会話の一覧から選んで呼び戻す操作、で戻せる) |
要約は「縮めて続ける」、/clear は「捨てて新しく始める」です。
公式の説明では、机が満杯に近づくと、次の順に片付きます。
先に消えるのは道具の結果です。 ここは机を一番埋めている部分なので、効率が良いからです(No.05 の第1章②)。
公式は、要約後も「あなたの依頼と、大事なコードの断片は残る。ただし会話の序盤に出した細かい指示は失われることがある」と書いています。
自動の要約が動く点は、モデルで変わります。 公式では、100万トークンの窓を標準で持つモデルは、窓が満杯になる少し前の約967,000トークン(窓の約97%)で動くのが既定です。 手前で動く理由は、公式には書かれていません。 窓が200,000トークンの設定では、その窓の限界で動きます。
動き始める点は、自分で下げることもできます。
/autocompact 500k と打つと、500,000トークンで動くようになります(/autocompact は、自動の要約が動き始める点を決めるコマンドです)。
数字は2026年10月時点の公式です。 講義では「満杯の少し手前で、自動で動く」と伝えれば足ります。
1つのファイルや出力があまりに大きく、要約しても直後にまた満杯になる場合、Claude Code は数回試したあと止まってエラーを出します。 繰り返し続けて無駄に使うのを避ける安全策です。
○ よくある勘違い:「長く話すほど、私のことを覚えてくれる」→ ×。長くなるほど、序盤の細かい指示は要約で薄れます
○ 関係する単元:No.05 コンテキストウィンドウの中身
要約の後、次の物はもう一度読み込み直されます。
| 物 | 要約のあと |
|---|---|
| システムの指示、出力スタイル | そのまま効く |
| 作業場の一番上にある CLAUDE.md(公式:プロジェクトルートの CLAUDE.md) | パソコンの中のファイルから読み直される |
| 記憶(MEMORY.md) | ファイルから読み直される |
| 呼び出したスキルの本文 | 読み直される(1つ5,000トークン、合計25,000トークンまで。古い物から外れる) |
| 直近に読んだ・編集したファイル | 最大5つが読み直される(5,000トークンを超える物は、ファイルの場所だけで中身は戻らない) |
| バックグラウンドで動かしていたコマンド | 動き続ける |
共通点は、元がファイルとして残っていることです。 だから机を片付けても、読み直せます。
反対に、会話の中でしか存在しなかった物は、要約に含まれるかどうかだけで決まります。
paths: を付けたルール。読み込んだ時に会話へ入るため、要約で消えます(必要になれば読み直されます)特に気をつけたいのは、口で言った禁止事項です。 「push しないで」と会話で伝えただけだと、要約で抜けた時に守られなくなります。 push は、手元で直した内容を共有先のサーバーへ送る操作です。
自動モード(別のAIが操作をしてよいか判定するモード。No.14)も、同じです。 公式によると、判定は会話の発言を読み直して行うので、その発言が要約で消えると効かなくなります。 絶対に守らせたい禁止事項は、許可ルールの deny(No.13)に書きます。 deny は、実行そのものを本体が止める設定です。
/compact で残したい点を指定する:たとえば /compact 請求書スキルの修正点を残して。自動の要約が「大事そうな所」を推測するのに対し、あなたが選べます/clear で新しく始める:机を空にして始めれば、古い話が混ざりません。戻りたくなった時のために、先に /rename(会話に名前を付ける操作)で名前を付けておけば、/resume の一覧から探せます3つ目の書き方の例です。
# Compact instructions
要約する時は、テスト結果とコードの変更点を優先して残してください。
サブエージェントは、Claude が呼び出す「別の作業者」です(詳しくは No.12)。 専用の机(コンテキスト)を持っていて、そこで大量のファイルを読んだり出力を処理したりします。 終わると、まとめた報告だけがあなたの会話に戻ります。
事務所でいえば、「過去3年分の契約書を全部確認して、問題点を報告して」と、別室の担当者に頼むことです。 あなたの机には、担当者の報告書1枚だけ置かれます。大量に読むと机が埋まる作業を、別の机に出せるわけです。
頼み方は一言で足ります。 「サブエージェントを使って、〜を調べて」と添えます。
サブエージェントの作業も、同じ利用量に数えられます(No.07)。 机は軽くなりますが、使う量が減るわけではありません。
○ 受講生によく聞かれる質問:「要約されると、約束が消えるのはなぜ?」
→ 要約は「会話を短い文章に置き換える」処理です。短くする以上、書かれなかった細かい点は落ちます。仕組みとして避けるには、会話ではなくファイル(CLAUDE.md や deny)に置く、と答えます
○ 受講生によく聞かれる質問:「/compact と /clear はどう使い分ける?」
→ 同じ作業を続けるなら /compact(縮めて続ける)。別の仕事に移るなら /clear(空で始める)。同じ作業の途中で /clear すると、続きの文脈を失います
○ 関係する単元:No.08 CLAUDE.md と記憶、No.12 サブエージェント、No.13 許可ルール
要約は縮めて続ける。ファイルにある物は残り、会話の中だけの物は抜ける。絶対に守らせたいことはCLAUDE.mdか deny に。調べ物はサブエージェントへ。
問1 会話の最初に「このフォルダは絶対に消さないで」と口で伝えました。何時間も作業して自動の要約が何度か起きたあと、その約束が守られなくなりました。仕組みの説明として正しいのは?
問2 要約のあとも、ほぼ確実に効き続けるのはどれですか?
問3 大量のログを調べさせたいが、メインの会話を重くしたくありません。適切なのは?
問4 作業が一区切りして、全く別の仕事に移ります。前の仕事の話を混ぜたくありません。最も適切なのは?
出典:Claude Code 公式ドキュメント「How Claude Code works」(https://code.claude.com/docs/en/how-claude-code-works)「Explore the context window」(https://code.claude.com/docs/en/context-window)「Manage costs effectively」(https://code.claude.com/docs/en/costs)「Choose a permission mode」(https://code.claude.com/docs/en/permission-modes)「Model configuration」(https://code.claude.com/docs/en/model-config)。2026年10月13日に確認