Claude Codeの仕組み講座(講師のためのエンジニア水準)

区分2 コンテキストとトークン★★

No.07 プロンプトキャッシュと料金・利用上限

AIは、返事のたびに会話の全部を送り直しています。それでも現実的な速さと料金で動くのは、「同じ頭の部分を使い回す仕組み」があるからです。この単元は、料金と利用上限の質問に仕組みから答えるためのものです。数字は版で変わるので、考え方を中心に、少しゆっくり読みます。
目次
  1. 第0章 前提知識
  2. 第1章 プロンプトキャッシュ
  3. 第2章 キャッシュが外れる時
  4. 第3章 料金と利用上限
  5. 確認問題

第0章 前提知識

① 毎回、全部を送り直している

AIは、前の返事を自分では覚えていません(No.05 の第0章②)。 だから返事を1回作るたびに、Claude Code が次の物をまとめて送ります。

あなたの一言が短くても、送る量は「会話の全部」です。 1回の返事の重さは、一言の長さではなく、会話の長さで決まります。

さらに、道具を使うたびに、その結果を載せてもう1回送ります。 「ファイルを読んで、直して、テストを動かす」だけで、数回〜十数回の送信になります。

② 用語

第1章 プロンプトキャッシュ

① 同じ頭の部分は、読み直さなくていい 必ず覚える

毎回全部を送り直すと、同じ内容を何度も処理することになります。 そこで、AIの側(サーバー)は、前回と同じ「頭の部分」は処理済みの結果を保存しておき、使い回します。 これがプロンプトキャッシュです(プロンプトは、AIへ送る指示と文脈のこと)。

たとえ話にします。 毎朝、同じ分厚い申し送り書を、新しい担当者に最初から読ませるのは無駄です。 前日までの部分は「読み済み」の印を付けておき、新しい追記だけを読んでもらうのが、キャッシュです。 休みが長いと印が消えて、最初から読み直しになります。

② 一致するのは「頭から」だけ 必ず覚える

キャッシュは、送る内容の先頭から同じ所まで使い回します。 途中が1文字でも変わると、そこから後ろは全部、読み直しになります。

だから Claude Code は、変わりにくい物を前に、変わる物を後ろに並べています。

順番 内容 変わる時
1 システムプロンプトと道具の説明 道具の一覧が変わった時
2 CLAUDE.md・記憶 会話の開始、/clear、/compact の時
3 会話(あなたの言葉、返事、道具の結果) 毎ターン

普通の1ターンは、3だけが伸びるので、1と2と前の会話はキャッシュから読まれます。 1が変わると、その後ろの全部が読み直しになります。

③ 料金への効き 必ず覚える

覚えるのは2つです。 キャッシュから読んだ入力は、通常の入力の約1割の値段になります。 そして、キャッシュの保存時間は、標準で5分、延ばして1時間です。

細かい倍率は、公式の API 料金のページにある次の表のとおりです。講義では暗記しなくて構いません。

項目 通常の入力に対する倍率
キャッシュからの読み出し 約0.1倍(モデルによっては、さらに安い設定があります)
書き込み(5分保存) 約1.25倍
書き込み(1時間保存) 約2倍

書き込みは少し高く、読み出しは大きく安い、という組み合わせです。 長い会話を何往復もするほど、読み出しの回数が増えて、得になります。

○ 数字は2026年10月時点の公式(API料金のページ)。モデルで変わります
○ 関係する単元:No.05(何が机に載るか)、No.06(要約でキャッシュが組み直される)

第2章 キャッシュが外れる時

① 保存の期限(TTL) 必ず覚える

キャッシュは、使われないと一定時間で消えます。使われるたびに、期限は延びます。 この期限をTTL(Time To Live。保存時間)と呼びます。

公式の説明では、標準は5分で、1時間にもできます。 Claude Code の既定は、サブスクの枠の中でのメインの会話は1時間です。APIキー(API を使うための合言葉)やクラウド経由、またはサブスクの枠を超えて利用クレジットを使っている時は5分になります。

席を離れて長く空けると、戻った最初の1回は、会話の全部を読み直します。 最初の返事だけ遅く、重いのは、このせいです。

② 外れやすい操作 さらっと

公式は、次の操作でキャッシュが外れると整理しています。

反対に、CLAUDE.md を会話の途中で編集しても、キャッシュは外れません。 ただし、その編集も、次の /clear・/compact・再起動までは反映されません(起動時に1回だけ読まれているため)。

作業の途中でモデルや設定を頻繁に変えると、その都度、遅くて高い1回が発生します。 最初に決めて、変えるなら区切りで、が公式の勧めです。

③ 自分の環境で確かめる さらっと

/usage を打つと、セッションの欄に Prompt cache (main) という行が出ます。 キャッシュから読めた割合、外れた回数、いまキャッシュが温かい(まだ使える)かどうかが見えます。

第3章 料金と利用上限

① サブスクとAPIの違い 必ず覚える

サブスク(Pro・Max など) API(従量課金)
払い方 月額 使ったトークン分
量の限り方 時間の枠ごとの使用量上限 上限は金額(予算)側で管理
上限に当たると 枠が戻るまで待つ、または利用クレジットを使う 請求が増える(予算を決めていれば、その上限まで)
画面で見る所 /usage の使用量バー /usage の金額(見積)、コンソールの請求画面

公式の説明では、Teams・Enterprise のプランの使用量は、5時間ごとの枠と週ごとの枠で管理されます。 個人の Pro・Max にも、/usage に使用量のバーがあります。ただし、個人の枠の長さは、公式のこのページには書かれていません。

枠は、どのモデルを使っても、同じ枠から減ります。 「セッションの上限」「週の上限」のメッセージが出た時は、モデルを替えても戻りません。 例外は、「Opus の上限」のように特定のモデル名が付いたメッセージが出た時だけです。その場合は、別の系統のモデルに替えれば続けられます。

② なぜ長い会話は、上限に早く当たるのか 必ず覚える

答えは、第0章①の事実にあります。

だから、1行だけ質問しても、1日中開いていた会話では、その会話の全部を読む分の利用量がかかります。 公式も、一日中開いたままの会話は、活動の割に大きな枠を使いうる、と書いています。

ほかにも、次の物が使用量を増やします。

③ 減らす工夫 さらっと

公式が挙げる中から、本講座の範囲で効くものです。

○ 受講生によく聞かれる質問:「短い質問しかしていないのに、なぜ上限に当たる?」
→ 一言の長さではなく、会話の長さが送られるからです。長い会話を続けているなら、/clear や新しい会話に分けると軽くなります
○ 受講生によく聞かれる質問:「キャッシュがあるなら、長い会話でも安いのでは?」
→ 読み出しは安くなりますが、ゼロではありません。しかも保存時間が過ぎると消えるので、休憩明けの最初の1回は全部を読み直します
○ 関係する単元:No.05 コンテキストの中身、No.06 要約

毎回、会話の全部を送る。同じ頭の部分はキャッシュで安く使い回す。長い会話は量がゼロにならないので、上限に早く当たる。

確認問題

問1 「一日中開いたままの会話に、短い質問を1つだけしたのに、使用量がかなり引かれた」という受講生がいます。仕組みの説明として正しいのは?

問2 プロンプトキャッシュが効く仕組みとして正しいのは?

問3 2時間ほど席を外して戻ったら、最初の返事だけ遅くて、使用量も多く引かれました。最も近い説明はどれですか?

問4 サブスクの使用量の上限に当たりました。説明として本文に沿っているのは?

出典:Claude Code 公式ドキュメント「How Claude Code uses prompt caching」(https://code.claude.com/docs/en/prompt-caching)「Manage costs effectively」(https://code.claude.com/docs/en/costs)。Anthropic API 公式「Prompt caching」(https://platform.claude.com/docs/en/build-with-claude/prompt-caching)の料金倍率。2026年10月13日に確認