Claude Codeの仕組み講座(講師のためのエンジニア水準)
区分2 コンテキストとトークン★★AIは、前の返事を自分では覚えていません(No.05 の第0章②)。 だから返事を1回作るたびに、Claude Code が次の物をまとめて送ります。
あなたの一言が短くても、送る量は「会話の全部」です。 1回の返事の重さは、一言の長さではなく、会話の長さで決まります。
さらに、道具を使うたびに、その結果を載せてもう1回送ります。 「ファイルを読んで、直して、テストを動かす」だけで、数回〜十数回の送信になります。
毎回全部を送り直すと、同じ内容を何度も処理することになります。 そこで、AIの側(サーバー)は、前回と同じ「頭の部分」は処理済みの結果を保存しておき、使い回します。 これがプロンプトキャッシュです(プロンプトは、AIへ送る指示と文脈のこと)。
たとえ話にします。 毎朝、同じ分厚い申し送り書を、新しい担当者に最初から読ませるのは無駄です。 前日までの部分は「読み済み」の印を付けておき、新しい追記だけを読んでもらうのが、キャッシュです。 休みが長いと印が消えて、最初から読み直しになります。
キャッシュは、送る内容の先頭から同じ所まで使い回します。 途中が1文字でも変わると、そこから後ろは全部、読み直しになります。
だから Claude Code は、変わりにくい物を前に、変わる物を後ろに並べています。
| 順番 | 内容 | 変わる時 |
|---|---|---|
| 1 | システムプロンプトと道具の説明 | 道具の一覧が変わった時 |
| 2 | CLAUDE.md・記憶 | 会話の開始、/clear、/compact の時 |
| 3 | 会話(あなたの言葉、返事、道具の結果) | 毎ターン |
普通の1ターンは、3だけが伸びるので、1と2と前の会話はキャッシュから読まれます。 1が変わると、その後ろの全部が読み直しになります。
覚えるのは2つです。 キャッシュから読んだ入力は、通常の入力の約1割の値段になります。 そして、キャッシュの保存時間は、標準で5分、延ばして1時間です。
細かい倍率は、公式の API 料金のページにある次の表のとおりです。講義では暗記しなくて構いません。
| 項目 | 通常の入力に対する倍率 |
|---|---|
| キャッシュからの読み出し | 約0.1倍(モデルによっては、さらに安い設定があります) |
| 書き込み(5分保存) | 約1.25倍 |
| 書き込み(1時間保存) | 約2倍 |
書き込みは少し高く、読み出しは大きく安い、という組み合わせです。 長い会話を何往復もするほど、読み出しの回数が増えて、得になります。
○ 数字は2026年10月時点の公式(API料金のページ)。モデルで変わります
○ 関係する単元:No.05(何が机に載るか)、No.06(要約でキャッシュが組み直される)
キャッシュは、使われないと一定時間で消えます。使われるたびに、期限は延びます。 この期限をTTL(Time To Live。保存時間)と呼びます。
公式の説明では、標準は5分で、1時間にもできます。 Claude Code の既定は、サブスクの枠の中でのメインの会話は1時間です。APIキー(API を使うための合言葉)やクラウド経由、またはサブスクの枠を超えて利用クレジットを使っている時は5分になります。
席を離れて長く空けると、戻った最初の1回は、会話の全部を読み直します。 最初の返事だけ遅く、重いのは、このせいです。
公式は、次の操作でキャッシュが外れると整理しています。
/compact(会話が新しく短い物に置き換わる)反対に、CLAUDE.md を会話の途中で編集しても、キャッシュは外れません。
ただし、その編集も、次の /clear・/compact・再起動までは反映されません(起動時に1回だけ読まれているため)。
作業の途中でモデルや設定を頻繁に変えると、その都度、遅くて高い1回が発生します。 最初に決めて、変えるなら区切りで、が公式の勧めです。
/usage を打つと、セッションの欄に Prompt cache (main) という行が出ます。
キャッシュから読めた割合、外れた回数、いまキャッシュが温かい(まだ使える)かどうかが見えます。
| サブスク(Pro・Max など) | API(従量課金) | |
|---|---|---|
| 払い方 | 月額 | 使ったトークン分 |
| 量の限り方 | 時間の枠ごとの使用量上限 | 上限は金額(予算)側で管理 |
| 上限に当たると | 枠が戻るまで待つ、または利用クレジットを使う | 請求が増える(予算を決めていれば、その上限まで) |
| 画面で見る所 | /usage の使用量バー |
/usage の金額(見積)、コンソールの請求画面 |
公式の説明では、Teams・Enterprise のプランの使用量は、5時間ごとの枠と週ごとの枠で管理されます。
個人の Pro・Max にも、/usage に使用量のバーがあります。ただし、個人の枠の長さは、公式のこのページには書かれていません。
枠は、どのモデルを使っても、同じ枠から減ります。 「セッションの上限」「週の上限」のメッセージが出た時は、モデルを替えても戻りません。 例外は、「Opus の上限」のように特定のモデル名が付いたメッセージが出た時だけです。その場合は、別の系統のモデルに替えれば続けられます。
答えは、第0章①の事実にあります。
だから、1行だけ質問しても、1日中開いていた会話では、その会話の全部を読む分の利用量がかかります。 公式も、一日中開いたままの会話は、活動の割に大きな枠を使いうる、と書いています。
ほかにも、次の物が使用量を増やします。
公式が挙げる中から、本講座の範囲で効くものです。
/clear(No.06)○ 受講生によく聞かれる質問:「短い質問しかしていないのに、なぜ上限に当たる?」
→ 一言の長さではなく、会話の長さが送られるからです。長い会話を続けているなら、/clear や新しい会話に分けると軽くなります
○ 受講生によく聞かれる質問:「キャッシュがあるなら、長い会話でも安いのでは?」
→ 読み出しは安くなりますが、ゼロではありません。しかも保存時間が過ぎると消えるので、休憩明けの最初の1回は全部を読み直します
○ 関係する単元:No.05 コンテキストの中身、No.06 要約
毎回、会話の全部を送る。同じ頭の部分はキャッシュで安く使い回す。長い会話は量がゼロにならないので、上限に早く当たる。
問1 「一日中開いたままの会話に、短い質問を1つだけしたのに、使用量がかなり引かれた」という受講生がいます。仕組みの説明として正しいのは?
問2 プロンプトキャッシュが効く仕組みとして正しいのは?
問3 2時間ほど席を外して戻ったら、最初の返事だけ遅くて、使用量も多く引かれました。最も近い説明はどれですか?
問4 サブスクの使用量の上限に当たりました。説明として本文に沿っているのは?
出典:Claude Code 公式ドキュメント「How Claude Code uses prompt caching」(https://code.claude.com/docs/en/prompt-caching)「Manage costs effectively」(https://code.claude.com/docs/en/costs)。Anthropic API 公式「Prompt caching」(https://platform.claude.com/docs/en/build-with-claude/prompt-caching)の料金倍率。2026年10月13日に確認